皮膚血流に及ぼす効果
皮膚血流に及ぼす効果について
皮膚の下には、毛細血管がたくさん張り巡らされていて、体の熱の維持や放散に関与しています。体の中に熱がこもっている場合には、血管を拡張し、熱を逃がします。逆に、体温が低い場合には、熱を逃がさないよう血管が収縮します。また、皮膚の下には毛細血管だけでなく、静脈叢もあります。この静脈叢の血流量により、皮膚の色調が変わってきます。酸素濃度が低いと、皮膚や爪、唇といった部位は紫色になります。これを、チアノーゼといいます。
手足といった末梢にあるツボに刺激を入れると、全身の皮膚温が上昇するという報告があります。これは、皮膚からの刺激が、皮膚交感神経活動を一過性に上昇させ、皮膚血流量を下げますが、その後、皮膚交感神経の活動は落ち着き、皮膚血流量が増えます。また、
この他にも、皮膚への鍼刺激により、軸索反射という血流を増加させる反射がおこります。皮膚の刺激により、その刺激は中枢へ伝えられますが、一部の刺激が末梢血管を支配する神経に伝わり、その神経から血管拡張物質であるサブスタンスPやCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)が放出されます。その結果、血管が拡張し、血流量が増えます。
鍼の皮膚血流量改善の効果により、レイノー病や閉塞性動脈硬化症といった末梢循環障害にも効果的です。